小さな博物館は左端の扉が入口かと思って行くと、少し右側、外階段を登ったところだった。
博物館にはパラティーノの丘の出土品が展示されている。一番見たいのは、リウィアの家などにあった壁画だ。
まず入ると通路のような場所に彫像群が並んでいる。
一つの部屋に入ると、妻リウィアの家ではなく、アウグストゥスの家の壁画があった。ゴマ殻えぐり(fluting、柱身に彫った縦の溝)のある円柱が等間隔に並び、柱と柱の間に葉綱(Garland)が吊り下げられている。その下側には赤紫などの腰羽目板があるかのように描かれるのは、部屋の内側から外側を眺めているように見せるためだろうか。
リウィアの家の単彩の部屋の壁画とよく似ている。どちらも第2様式(前30-後20年頃)だが、アウグストゥスの家の方は、柱は円柱に見えるが、実は角柱に半円柱の付け柱があることが厳密に表現されている。
葉綱の方はリウィアの家の壁画の方が豪華で、アウグストゥスの家の方は隙間があって簡素である。葉や果物だけでなく、花も描かれているので、花綱文様といえるだろう。
葉と花綱の壁画は左へと続いている。その向こうに青い色の壁画が見えている。
それは壁画のごく一部だが、先ほどの柱の並ぶ壁画とは色調が全くことなるので、別の部屋の壁画だろう。
次の展示室にいくと、小さく描かれた人物群像や現実離れした装飾的な線の壁画、いやヴォールト天井の天井画があった。ネロ(54-68年)の宮殿跡から出土したものらしい。「幻想様式」と呼ばれる第4様式のものだ。
1/4円の壁面にも同じような絵画が描かれている。
非常に凝った大理石のモザイクがあった。ネロの宮殿出土。
おそらく、オプス・セクティレ(opus sectile)という色大理石のモザイクで、壁面を飾っていたものだろう。
一回りして外階段へ。
半地下にも展示室があるのが外から見えた。
そこはドムス・アウグスターナかドムス・フラウィアの遺構の一部が見られるような展示室になっている。
※参考文献
「世界美術大全集5 古代地中海とローマ」(1997年 小学館)
「イラスト資料 世界の建築」(古宇田實 1996年 マール社)