2014年2月10日月曜日

古代マケドニアの遺跡9 ペラ考古博物館3 ガラス


ペラ考古博物館には、少数ながらガラスも展示されていた。

香油瓶 時代不明 
アラバストラあるいはアラバストロンと呼ばれる香油を入れていた瓶。
テラコッタ製のものや、他の化粧品入れにまじってコアガラスのものが2点。
アラバストラ コアガラス
針金のようなもので引っ掻いた文様。アラバスター(雪花石膏)の縞模様を写したことからこの名があるという。
アラバストラ コアガラス
ナイフの刃で押し切るようにつけた文様。
こちらの方が保存状態がよかったようで、今作ったかのような光沢がある。

ボードゲーム 制作時期不明
盤はファイアンス、駒はガラス、骰子は骨と分かり易い。

スキフォス 前2世紀初期 ガラス マケドニアの墓Bより出土 ペラ考古博物館蔵
同墓について『Pella and its invirons』は、盗掘されていない墓で、大理石の箱に、金で刺繍された紫の布に包まれた少女の遺骨が木製骨箱が発見されたという。
遺骨を包んでいた金刺繍のある紫の布は、ヴェルギナのメガリ・トゥンバ第2墳墓の控えの間の黄金の骨箱から発見された布と同じようなものだろう。
その図版はこちら
ロゼット文は型による成形かな。
同書に出土当時の図版があった。
同じ幅に線刻して、水平な線と花弁を表したものだった。このような線刻でも、内側から見るとたくさんの花弁の花が満開になったのをカットグラスのように薄い部分と厚い部分があるように感じられる。
IHO MUSEUM蔵の花文カット装飾碗(アケメネス朝ペルシア、前5-前4世紀)よりも花弁が細く数も多いが、同じような作り方だろう。
同装飾碗についてはこちら

型作りと思われるガラスの部品や、金箔を貼ったのか金箔を挟んだのかよくわからなかったガラス片などが展示されているコーナーもあった。 
上中央にはアンテミア。どこかで見かけた記憶が・・・ 
そうそう、オリンピア考古博物館で、パルメットを思わせるガラスの土型や、その中にガラスの残っているもの、そして型から取り出されたガラスなどが展示されていた。
それについてはこちら
下の方には金箔ガラス板。
いまいちピントが合いきらなかったが、ガラスで金箔を挟んだものではなさそう。当時の接着剤で貼り付けたのか、ガラスに熔着したのかわからないが、人物像がガラス板から浮いたように感じる。
これらのガラスは墓室の木製寝台を装飾するための部品だった。
それについてはこちら

おまけ

ロゼット花冠 前350-325年頃 テラコッタ 女性の墓の供物
鋳型成形の色ガラスだと思って撮ったらテラコッタだった。
テラコッタに彩色したのだろうか。元の色はわからないが、白・黄色・バラ色などに色付けして花輪にし、墓に入れたらしい。


           ペラ考古博物館2 ダロンの聖域← →マケドニアの金製品

関連項目
古代マケドニアのベッドにガラス装飾
オリンピア4 博物館1 フェイディアスの仕事場からの出土物
コアガラス容器の文様もジグザグを目指した?
ペラ考古博物館1 漆喰画の館
ペラ4 アゴラ界隈
ペラ3 ヘレネの略奪の館
ペラ2 ディオニュソスの館
ペラ1 円墳を辿ると遺跡に着く
ヴェルギナ2 王宮まで
ヴェルギナ1 大墳丘にフィリポス2世の墓

  
※参考文献
ギリシア古代遺跡事典」 周藤芳幸・澤田典子 2004年 東京堂出版
「Pella and its invirons」 Maria Lilimpaki-Akamati・Ioannis M.Akamatis 2003年 MINISTRY OF MACEDONIA-THRACE