2014年3月24日月曜日

サントリーニ1 クレタからサントリーニへ


朝イラクリオンのホテルをバスで出発。
5分もすると海沿いの道路に出た。向こうに浮かんでいるのはディア島。
建物の間に遺跡の発掘現場。ヴェネツィア時代のものかな。
間もなく港に着くとすでに高速双胴船がいて、どんどん乗り込んでいる。ちょっと離れて船を写すというヒマもなく、スーツケースをごろごろと運び、2階の指定席へ。
まだ出発もしていないのに、バカンス客たちはバーで思い思いの飲み物を注文している。この時点で、彼らのバカンスを楽しんでいる空気が伝わってくる。
近年どこに出掛けても「よく食べますね」「嫌いな物はないんですか」などと言われる私だが、ホテルで十二分に食べてきているので、アイスチョコレートもあるだろうが、飲もうという気にはなれない。
デッキに出るとユクタス山が、幾分霞んだ大気の中で小さな富士山のように聳えている。火山とはどこにも書いてないが。
『ギリシア美術紀行』は、この山はもっと西側から見ると、そのシルエットは枕をかった仰向きのゼウスの横顔になるという。古来からユクタス山は「ゼウスの墓」の所在地として知られる。
キュプロプス式の巨石を組んだ壁体が広大な聖域(テメノス)を囲み、西側の目も眩むような絶壁を背にして、エヴァンズの復元プランによれば、3つの部屋をもつ南北に長い長方形の切石積みの建物(16X10m)が建っていたことになる(現在の学説では5つの部屋)という。
10時出航。
同書は、イラクリオンの町から真南約10㎞の所に、この町がカンディアと呼ばれていた昔には入港する船人の陸標にもなっていたユクタス山(約800m)が、今でも町を象徴するかのように、町並みを越えて眺められるという。
ミノア時代、海岸にはクノッソスの外港があった(『ギリシア都市の歩き方』より)だけという。当時は、海からユクタス山の麓にクノッソス宮殿が見えただろうか。 
スピードが出てくると、危険なのでデッキは立ち入り禁止となった。
本日はサントリーニ島に向かう。

クレタ島には、ミノア時代、島の北岸に沿って町が並んでいたらしい。それがサントリーニ島の火山の噴火による津波で大きな被害を受けたという。
『古代ギリシア遺跡事典』は、エーゲ海の南にあるサントリーニ島の火山の爆発年代を、地球規模での気候の冷涼化に関する理化学的な研究成果から、前1628年と推定する。この爆発によって、サントリーニ島ではミノア文明の都市(アクロティリ遺跡)が火山灰層の下に埋没したという。
そのアクロティリ遺跡は、崩落事故があり、長い間修復していたが、2013年にやっと見学再開となった。この遺跡を見たいがために、ギリシア旅行を延ばしていたのだ。
その時島が崩壊して残った縁の一部が、現在サントリーニと呼ばれる島で、ほかにも小さな残骸が島として残っている。その中央には少しずつ溶岩を噴出ながら、やがて海から顔を出したのがネア・カメニ島で、上陸するツアーもあるというので、これも楽しみ。
坐席に座っていても退屈なので、ボックス席の窓をながめる。

出発後1時間半ほどでサントリーニ島の端が見えてきた。

あんな岩の上に建物がある。
スピードが落ちてくると、再びデッキに出られるようになった。
ちょうど島の南西の低地辺りに差しかかったところ。
サントリーニ島は上部に町や家並みがあり、その壁が白く塗られているので、遠くから見ると雪のよう。
ニュー・ポートに到着。軒を連ねているのはレンタカー屋。
下船して初めて、載っていた船を見た。
双胴船は非常に安定がよく、船に弱い私でも安心して乗っていられた。
こちらは別の双胴船。
つづら折りの道をバスで上っていく。
どうしても崖下の景色を見てしまう。
乗ってきた双胴船はもうミコノス島に向けて出港していった。

崖の方はこんな風。
登りきると平たい葡萄畑があったが、
斜面の方は段々の葡萄畑になっている。地面の乾燥を防ぐために、地を這わせているという。
サントリーニ島の中心になるフィラの町が見えてきた。
と思うと、1分で町の中に入っていった。
メインストリートにはサンドイッチ屋が並んでいる。レストランは崖側の景色の見られる場所に軒を連ねている。
レンタカーだけでなく、バギー車のレンタルもあって、若者どもが乗り回している。
狭い道を乗り回している彼らを見ていると、まるで映画のロケを見ているようで、こちらも楽しかった。やっぱり傍観者でしかないのだなあ。

    クレタ島6 イラクリオンを海辺まで街歩き
                       →サントリーニ2 イアに夕日を見に

関連項目
サントリーニ3 ネア・カメニへはフィラから
サントリーニ4 パレア・カメニ島の海中温泉
サントリーニ5 火山島ネア・カメニ1
サントリーニ6 火山島ネア・カメニ2
サントリーニ7 アクロティリ遺跡1
サントリーニ8 アクロティリ遺跡2
サントリーニ9 アクロティリ遺跡3
サントリーニ10 アクロティリ遺跡4
サントリーニ11 アクロティリ遺跡5

※参考文献
「ギリシア美術紀行」 福部信敏 1987年 時事通信社
「ギリシア都市の歩き方」 勝又俊雄 2000年 角川書店
「古代ギリシア遺跡事典」 周藤芳幸・澤田典子 2004年 東京堂出版