アヒロピイトス聖堂の身廊と側廊を隔てる列柱は二階建てで、階上廊の右列柱のアーチ内側にもモザイクが残っている。
そして、一階のアーチにはなく、二階のアーチにあるものは、角材と思われる２本の棒による補強だ。
遠すぎるので写真にははっきりとは撮れないだろうと諦めていたのだが、ちょうど西日が堂内に射し込んでいたために、地上階よりも明るく撮れていた。
ｅ５ 星と果樹
青のグラデーション（暈繝）のある円内には十字架が表されることが多いのに、ここでは先の尖った花弁状に８つの光を放つ星になっている。
実は先が開いてザクロのよう。籠または植木鉢は２本の紐を巻きつけ、それぞれ結び目がある。
実は３つがひとまとまりになっている。地上階のａ７にも葉の上に丸い実が３つのっていた。３つは三位一体を表しているのだろうか。
ｅ６ 十字架と葡萄唐草
葡萄の蔓が紫のグラデーションになっているので、わかりにくいが葡萄唐草が３つの楕円形をつくり、中に十字架と葡萄が表されている。右端には籠のようなものから茎が出ているのが見える。
ｅ７ 十字架と果樹または蕾をつけた花樹
十字架がｅ６とは反対向き。
ｅ５と同じく蕾は３つがひとまとまりになっている。
ｅ８ 十字架と燭台？
燭台はアカンサスの葉で組み立てられているような感じ。しかし、その上にはリンゴのような実があり、両側の葉には小さな蕾のようなものが出ている。
アカンサスの葉は、それぞれ先が翻り、裏側を示すのか、赤い差し色がある。
ｅ９ 十字架と花樹
オリーブの葉のようだが、花が大きすぎる。ここでは３つでひとまとまりというこれまでの原則？が破られ、鉢の上に蕾が２つ、枝が唐草のように巻いてその上に２つ、同じ方向にまた枝が巻いてその上に開花したものが一つ表される。
ｅ１０ 十字架とアカンサス？
ｅ８に似ているが、壺から伸びているので植物だろう。アカンサスも変身したものだ。
ｅ１１ 十字架と蓮華
蓮の花托もあるが、それに比べて花が小さい。ヒツジグサの開き掛けのようでもある。当時から多様な種類の蓮華があったのだろうか。
風変わりな鉢または花瓶で、輪郭と同じ色の結んだ端が両側に出ている。青い色も紐かも。
ｅ１２ 十字架と果樹
下は熟したザクロの実、上はこれから大きくなる実のよう。やはり３つでひとまとまりになっている。
ｅ１３ 十字架と植物
脚坏のようなものから出ているのは小さな葉の植物。
おそらく中央に十字架があっただろう。
ナルテクスと身廊を隔てる列柱の３つのアーチ内側にもモザイクがあった。
ｃ１ 十字架と２本の葡萄唐草
十字架の周りに４羽の白いハト。嘴の長い鳥もいる。
ｃ２ 十字架と蓮華
蕾は蓮華なのに、開いたものは蓮華に見えない。蓮華を見たことがないのかな。それに比べて花托はよく描けている。
ｃ３ 十字架と２連の葡萄唐草
ナルテクスの左右側廊側に横断アーチがあった。ナルテクスの幅だけあるので、これが一番大きなアーチだが、暗いのでよく写らなかった。
ｄ１ 十字架と花綱
壺から出た２本の花綱が蛇行して交差する度に丸い花輪をつくっていく。
両側の花輪の中には書物が描かれている。
ｄ２ 十字架と花綱
中央が剥落しているが、ｄ１と同じような十字架が僅かに残っている。
それだけではない。壁面の三連窓のアーチ内側にもモザイク画が残っていた。
ｆ１ 星と葡萄唐草
ブドウの葉は二色に分けるということはしていない。
ｆ２ 十字架と蓮華
こんなところにも蓮華があった。
ｆ３ 星と葡萄唐草
ガラスなので色が褪せるということはないはずだが、ｆ１よりも茎の色などがはっきりと残っている。
きっと他の窓にもこのようなモザイク画があっただろう。もっとゆっくりと見学したかった。
そして、アヒロピイトス聖堂のモザイクやフレスコ画についての本がほしかった。
帰り道で書店の前も通ったのだが、何と言ってもあのギリシア文字である。その氾濫する店内に入って探す気力がなかった。
案外、Ｃｈｕｒｃｈ ｏｆ Ａｃｈｅｉｒｏｐｉｅｔｏｓ ｂｏｏｋで通じたかも。当たって砕ける前に、腰が砕けてしまったのだった。
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関連項目
アヒロピイトス聖堂の蓮華はロゼット文
イコノクラスム以前のモザイク壁画８ アヒロピイトス聖堂２ 蓮華もいろいろ
イコノクラスム以前のモザイク壁画７ パナギア・アヒロピイトス聖堂１ モティーフいろいろ
テッサロニキ６ パナギア・アヒロピイトス聖堂１ フレスコ画
テッサロニキ５ アヒロピイトス聖堂まで街歩き
テッサロニキ４ アギオス･ディミトリオス聖堂２ クリプト
テッサロニキ３ アギオス･ディミトリオス聖堂１ モザイクとフレスコ
テッサロニキ２ ビザンティン時代の城壁
テッサロニキ１ ガレリウス帝の記念門と墓廟