お知らせ
イスタンブールでミマールスィナンの造ったモスクを見ていて、その前はどんな形のモスクだったかが気になって、オスマン帝国の古都を旅してきました。最後にはまたイスタンブールを訪ねます。
詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。
2016年2月4日木曜日
クニャ・ウルゲンチ5 トゥラベク・ハニム廟
クニャ・ウルゲンチのグルガンジ遺跡には北にある道路から南下するので、一番最初に見えるのがトゥラベク・ハニム廟で、
そして最も美しい遺構である。
⑤ トゥラベク・ハニム廟 TUGHABEG KHANUM 1370年建立
『旅行人ノート⑥』は、廟はグルガンジ最大の見どころで、保存状態が最もよい。1370年にスーフィー朝のハーンの一族の墓所として建てられた。
トラベク・ハニムはクトゥルグ・ティムールの正妻であるという。
④のミナレットを金曜モスクと共に建立したハンの一族の墓廟だ。
青いドームが崩壊しているために、二重殻ドームであることがよくわかる。
反対側は外側ドームが残っていない。ドームの下は正方形ではなさそうで、後ろには後室がある。
側面には尖頭アーチ型窓の下に木製の格子。
ヒヴァなどでも見かけた文様だ。
ファサードには部分的にタイルが残っている。
イーワーン頂部はモザイク・タイルのムカルナスを積み重ねてあったよう。
大きな木の扉から入る。
扉には、ここでも細かな浮彫が施されている。
プランによると、ファサードを入ったところが前室、主室は曲線的だが六角形、それに細長い後室が付いている。
前室は長方形平面から複雑なムカルナスで天井が立ち上がっているが、中央部分が失われて、その輪郭は8点星のようになっている。外からは見えなかったが、ここにも小さなドームがある。
もう一つ扉を通って、
主室へ。
正面には後室細長い後室が続いている。
そこには地下の墓所に続く階段が。
廟では地上階に空の棺が安置されていて、実際の柩は同じ位置の地下に置かれるのがイスラーム式なので、奥の平たく何もないところに、スーフィー朝のハーン一族の棺が並んでいたのだろう。
その天井もやはりモザイク・タイルのドームが架かっていたらしい。
主室のドームには美しい星空のようなモザイク・タイルが残っていた。
同書は、 直径12mのドームの内側には星を模した金色の点が365個散りばめられており、それを円筒部分で12のアーチが支え、その下に24のアーチがある。それに4つの大窓が付いていて、これらはそれぞれ年・月・日・週を表している。ハーン一族の棺は北側の部屋にあるという。
六角形の各隅にはムカルナス。
六角形、十二角形、二十四角形から円形が導かれ、ドームが架かっている。
格子窓から入る光が何ともいえない。
これは古くからある意匠なのかな。
もうタイル装飾がなくなってしまった壁面もある。
タイル装飾についてはこちら
クニャ・ウルゲンチ4 クトゥルグ・ティムールのミナレット←
関連項目
トゥラベク・ハニム廟のタイル
14世紀、トゥラベク・ハニム廟以前のモザイク・タイル
トゥラベク・ハニム廟のタイル
重量軽減のための二重殻ドーム
ドームを際立たせるための二重殻ドーム
ハフト・ランギー(クエルダ・セカ)の初例はウスト・アリ・ネセフィ廟
シャーヒ・ズィンダ廟群8 ウスト・アリ・ネセフィ廟
クニャ・ウルゲンチ1 クルク・モッラーの丘へ
クニャ・ウルゲンチ2 イル・アルスラン廟
クニャ・ウルゲンチ3 スルタン・テケシュ廟
「旅行人ノート⑥ シルクロード 中央アジアの国々」 1999年 旅行人