お知らせ

イスタンブールを旅してきました。目的は、ミマール・シナン(正しい発音はスィナン)の建てたモスクやメドレセ・ハマムなどや、ビザンティン帝国時代の聖堂の見学でした。でも、修復中のものもあり、外観すら望めないところも多く・・・ 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2023年7月14日金曜日

アルランド Arlempdes


ルピュイを出て南の方へ向かう。今朝も曇り

向こうの丘は樹木や草のないところが赤い。ここも太古の火山地帯。マッシフ・サントラル(Massif Central 中央山塊)と呼ばれている地帯だった。


段々空が低くなってきた。


まだ葉が出ていない木々がふわふわとした姿を見せ、のどか~などと風景を楽しんでいるうちに、


ロワール川の上流にあるアルランドに到着した時には、小雨になっていた。
Arlempdes と書いてアルランドと読む。ケルトの古い地名という。この町はルピュイから直線距離で20㎞ほどのところ。


岩山の上には素朴なサンジャックルマジュール礼拝堂 Chapelle Saint-Jacques-le-Majour と城壁
アルランド[フランスの美しい村]というサイトは、11-12世紀に建てられたサン・ジャック・ル・マジュール礼拝堂はかつての面影を良く留めている。礼拝堂の佇む高さ100mの崖の上は古くから神聖な場所として信仰の対象となっていたとされ、神秘的な雰囲気漂う。
赤みを帯びた角礫岩で造られた外観が特徴的で、質素で素朴な魅力に溢れている。教会内は半ドーム状になっており、奥には金箔の張られた小さな祭壇画が祀られているという。
この礼拝堂だけがこんな赤い色、他所から運んだのだろう。

少し離れて監視塔のある城壁

バスを降りて集落に近づくと、胸壁の残る城壁と教会との向きと距離が変わった。そして左前にも教会出現。


町の門は開いていた。この門はあちこちに小さな窓がある。

高い門から先ほどの教会が見えた。

門のある建物の内側。半円アーチの門の上は、どうも柱状節理の六角形の黒い石を積んでいる気がする。


サンピエール(聖ペテロ)教会 l'Église Saint-Pierre 
アルランド[フランスの美しい村]は、12世紀に建設され、16世紀に拡張のための改修がなされた。多葉飾りが施された正面扉の上部には、アーチの下に吊るされた4つの鐘が横並びに配置されており、ラングドック地方に点在する教会の典型的な造りをしているという。
ファサードの頂部にアーチ型が並んでいるのは、ルピュイのカテドラルでも見た。

鐘が吊されたアーチと下の扉口との間に小さな窓があった。ステンドグラスは古そうではないが、この尖頭アーチをつくっているのは、切石を組んだものではなく、石の板を尖頭に割ったものだった。

多葉アーチは11の小アーチで構成されている。大きなアーチ形があったり、小さなアーチもあったりと、整っていないところが素朴で味わい深い。切石の色も形もまばら。

弧帯の一番内側にはタンパンは残っていない。扉口の両側にはアカンサスの葉と渦巻きという組み合わせの柱頭彫刻が並んでいる。

柱身は一本石が基本のようで、飾りのないもの、斜めに線状の彫りのあるものの2種類。
壁の石も縦に浅い彫りが何本もある。

正面から見上げる。


教会の南側に回ると、黒くて大きな扶壁が見えた。

窓の半円アーチは武骨で、左の方は下半分が黒い石で塞がれ、右の方は建立当初から開口部はなかったらしい。


ファサードと後陣は同じ黒っぽい石、側廊は赤黒い石、上の礼拝堂と同じ赤みを帯びた角礫岩も使われてるのかも。


ファサードの裏側
何をするところだろう


教会前の十字架
アルランド[フランスの美しい村]は、教会のすぐ手前には、美しい彫刻によって飾られた15世紀の石製の十字架が置かれている。一方の面には十字架から降ろされたキリストをひざに抱く悲しみの聖母をモチーフとしたピエタ像が、反対の面にはキリストの磔刑像が刻まれているという。
十字架の各端がほどけたロープのようになっていて不思議。ロマネスク様式の時代にはピエタはなかった。
ルピュイのサンクレール礼拝堂近くに立っている十字架も似たような形をしていた。


教会の隣の建物の向こうには城壁が聳えていた。遠くから見ると高く遠いと感じた城壁がこんなにも近いとは。
アルランド[フランスの美しい村]は、フランスの有力貴族モンロール家により、12-14世紀にかけて建てられたのがアルランド城。火山の働きによって形成された玄武岩の崖の上に佇み、自然豊かなロワール川の流れを見下ろすことが出来るという。

出っ張った監視塔は、


岩の上に造られていた。火山岩のボコボコした岩山につく苔や地衣類。雨に濡れて鮮やかさが増している。


岩壁の形に城壁が築かれている。


城壁よりもこの岩塊に目が行ってしまう。


柱状節理の出来損ない? 白いけれど。

黒い砂



入口は開いていた。


中を覗くと低い位置に廃屋が。

十字架形の窓の枠には小さな穴が並んでいる。

残念ながら扉は閉まっていた。


扉の上に浮彫された紋章はモンロール家のものだろうか。


黒いのは玄武岩だが、赤いのは酸化した玄武岩? それとも上の礼拝堂に使われた角礫岩?

唯一出会った住民。使わなくなったヤカンで植物を育てたりして、生活を楽しんでいる。





参考サイト