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イスタンブールでミマールスィナンの造ったモスクを見ていて、その前はどんな形のモスクだったかが気になって、オスマン帝国の古都を旅してきました。最後にはまたイスタンブールを訪ねます。 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2023年6月16日金曜日

ルピュイ サンクレール礼拝堂 Le Puy La Chapelle Saint-Clair


ルピュイでサンミシェルデギュィユ礼拝堂のの近くにあるのは高い十字架と、

サンクレール礼拝堂 La Chapelle Saint-Clair
実細に見学したのは午後だが、サンミシェルデギュィユ礼拝堂の近くなのでその次の記事にした。
説明パネルは、サンミシェル岩のふもとに位置するサンクレール礼拝堂は、財産のない巡礼者を受け入れるためにセギュレ修道院を引き継いだサンニコラ病院に属していた。12世紀末に建てられ、17世紀からサンクレールに捧げられたという。
それ以前は巡礼者の宿泊所だったのかな。

何故サンクレール礼拝堂の全体が入るように撮せなかったのだろう。私の脳に問題がありそう。


礼拝堂の向こうに泉がある。

ゴシック様式の装飾のある泉で水は溜まっていなかった。

振り返ると八角形の礼拝堂に半円平面の後陣が付属していた。
後陣の右の窓には三葉の装飾。には扉口があった。

平面図 
説明パネルは、控えめな寸法のサンクレール礼拝堂は、八角形の平面。外側では、多葉のアーチで飾られたその壁は、暗い火山角礫岩と関連付けられた明るいアルコースの多色性を採用しているという。
ルピュイ、サンクレール礼拝堂平面図 堂内説明パネルより

反時計回りに見ていくと、窓だけの面の次は入口と窓のある面。扉は閉じられている。

上の窓には浅く太い弧帯には小さな人頭や動物があったり、半円アーチを支える両側の柱頭にも葉文様が刻まれていたりと、心を込めてつくられている。

その小さなタンパンには黒石の菱形と4点星の組み合わせの幾何学文様。これってイスラームの影響? 
そしてその下の楣石は中央が高いことに驚いた。「オーヴェルニュ地方の楣」(『異形のロマネスク』より)と呼ばれるものだ。一番有名なのは後に訪れたクレルモンフェランのノートルダムデュポール聖堂のもの。
この型の楣石についてはこちら


次の面は五葉の刳りがあって、その下には隣の建物との間に橋のようなものがあって、その外側に門がある。
この面の内部は撮影しなかったが、Google Map で内部を360度眺められる画像があった。
この内部は木製の扉があって、ひょっとすると、扉を開けると、外に出ないで、この橋を渡って右隣の建物に行くことができるのではと想像できて興味深い。


それをくぐったら入口がある面


その隣の面には入口はなく、窓の上には五葉の刳り形があり、各角の付柱にはアカンサスの葉文様、窓脇の小円柱には丸い柱頭がのっている。
次の面も窓だけで、小さな人頭などが見える。


入口の面の装飾は、

上部にはおそらく聖クレールであろう像がかかげられ、角の柱頭や小円柱の柱頭にはアカンサス由来の葉文様がある。小円柱の柱頭彫刻が左は白く右が黒いのもこの地方ならでは。


扉口上部には、さきほどと同じ浅い屋根型の楣石に、丸い文様が並んでいる。右から2つ目が三日月のよう。
説明パネルは、女神ダイアナの天文学的属性である月の満ち欠けを表現した楣石が飾られているため、「ダイアナ神殿」とも呼ばれているという。
タンパンには丸く成形した黒い玄武岩が規則正しく並んでいる。


中に入ると、床には椅子が並び、小さな後陣、左手は窓だけの面、右側がの面で窓は潰されたのか、開いていない。他の窓は面の中心にあるのに、(閉じられている)との窓は後陣からみて外よりに開けられている。

後陣
つの半円アーチ(弧帯 voussure)の奥に半ドームが架構されている奥に小さな半ドームが架けられている。

柱頭彫刻
左:アカンサス由来の葉文様 右:アカンサスの葉脈を図案化したような葉、その上に人物や動物の頭部が出ている。


天井はイスラームのようなドームにはならない、八角形のドームが架かる。

右より➊➋➌の面
8つのアーチはリブ(肋)のようで、各円柱に荷重をかけ、円柱の上の柱頭にかけている。  

右より➐❻➎➍の面 ➍は入口



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参考にしたもの
サンクレール礼拝堂の説明パネル
Google Map で内部を360度眺められる画像

参考文献
「石に刻まれた中世の奇想 異形のロマネスク」 ユルギス・バルトルシャイティス著 馬杉宗夫訳 2009年 講談社