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イスタンブールでミマールスィナンの造ったモスクを見ていて、その前はどんな形のモスクだったかが気になって、オスマン帝国の古都を旅してきました。最後にはまたイスタンブールを訪ねます。 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2018年9月20日木曜日

カオールで朝散歩2 崖を登る


今朝はヴァラントレ橋(Pont Valentré)を渡って少しだけ巡礼路の崖を登ってみる。
今朝のヴァラントレ橋は巡礼者も通らず静かだった。
3番目の塔には左に階段があるので、とりあえず上りましたがやっぱり鍵がかかっていました😓
階段の上からカオール(Cahors)の町とロット川(le Lot)を眺める。東の空が赤みがかってきた(ちょっと無理なパノラマ合成)。
ヴァラントレ橋は西の要塞でもあったので、西岸と橋はつながっておらず、ここは跳ね橋になっていたという。
サンティアゴデコンポステラへの巡礼路の道標。
矢印の先に階段から崖に登っていく。
ほぼ階段になっているので足元は安定している。
黙々と登っていく巡礼者。
巡礼者にBon courage(頑張って)!と声を掛けると、笑顔が返ってくる。

折り返す度にヴァラントレ橋や街並みが少しずつ姿を変えて見える。
木村尚三郎氏の『中世の街角で』は、悪魔が工事を手伝ったという14世紀のヴァラントレ橋は、160mもの長さに3つの塔を持つ、事実上の城塞である。それは、町を囲んで勢いよく流れるロート川の上に、何かに耐えるかの如く凝然と立ち尽くしていた。自動車が通る、オートバイが通る、お使いの少女が通るという。
ここからは3つ目の塔は見えないが、塔が要塞の機能を備えていたことが、ここからは実感できる。
橋の並びから視線を延長させると、遠くに赤い屋根の城館のような建物が。でも、そんな建物があるとはどこにも書いてないし・・・
それはロット川上流側のカベシュ橋の近くに立つサンテティエンヌ司教座聖堂の西構えだった!下から見上げても見えない鐘楼や屋根が、ここからならよく見えるのだった。聖堂というよりも要塞。
フランスの歴史的建造物 司教座聖堂St Etienne de Caorsは、司教座聖堂はカオールの中心にあって、飾り気のない外観で、要塞でもあるという。
まさに東西の要塞を展望できる絶景ポイントだった。
昨日裏側からカオールを眺めた円塔も聖堂の右にちょこっと見えている。
急傾斜の階段を上って左へ、正面の岩を左側から回り込むのだった。
登り詰めると崖の上に出た。景色や花の写真を写しながら所要6分。
上から見るとこんな感じ、石段でないのはここくらい。

こちらは巡礼路。
景色を写そうと向きを変えたら、目に飛び込んできたのは野草だった。
ここではたくさんの花が咲いていたので、別にまとめます
早速ヴァラントレ橋とロット川を見渡す。
そして昨日行ったバルバカヌやサンジャンの塔の方向を撮ってみたが、ぼんやりとサンジャンの塔が見えているだけ。市壁は写っていなかった。
花を写しながらあちこち移動してヴァラントレ橋も撮る。
ここからなら橋の下の閘門(écluse)が見える。

道路まで降りて、その下にあるMaison de l’eau(水の家)の前から近づいていく。
早朝なので昨日も今日も船がここを利用するのを見ていないが、今でも使われているのだろう。
ヴァラントレ橋の尖頭アーチをくぐる。
これが昨日橋の上から見えた下流側の水門
歩いて通ることはできる。
現在は観光船くらいしか通らないだろうが、かつてはカオールの黒ワイン(Vin noir)が運ばれたという。
下流側からも1枚。

一度ホテルに戻り朝食。
チーズは美味しい。右下の小さな丸いものは山羊のフレッシュなチーズ。これはカオールかその近辺のものだが、それぞれの地域によって味は違うのだという。後に訪れるロカマドゥール(Rocamadour)のチーズが有名なので、そこで買おう。
昨日とあまり変わらないが、今朝は蓋付きのガラス容器に入ったフロマージュ・ブラン(fromage blanc)も食べたが、添乗員氏によると、カッテージ・チーズと同じものだという。でも、日本で食べている裏ごしタイプのカッテージ・チーズよりも滑らか。
朝はカフェオレが飲みたい。
昔はカフェオレと言えば、コーヒー(もちろんエクスプレス、イタリア及びスペインではエスプレッソ)と暖めた牛乳(レ、lait)それぞれがポットに入って出てきて、それを丼鉢のような把手のついていないお椀に好みの濃さに注いだものだが、今ではマシンがやってくれる。情緒に欠けるが美味しい。


食後、出発まで時間があったので、朝散歩の続きにシャルトルーの泉(Fontaine des Chartreux)に向かった。
ヴァラントレ橋を渡って左折、歩道のない道路を歩いて行くが、幸いまだ自動車はあまり通っていない。
3分ほど歩くと建物が見えてくる。
カオール市の水道を管理しているところ。石灰岩の山から湧き出すシャルトルーの泉の水がカオール市民の水道水になっている。
滞在中は大雨の時に浄水施設が壊れていたが、もう修理も終わっているだろう。
車道の右に木の歩道が付いていて、この右側が泉。
シャルトルーの泉をパノラマ合成で。
laissez-vous conter Cahors』は、古代にガロワ人が願掛けした湧き水という。
歩道を渡って振り返る。左手前の石橋は今では通行できない。
水はロット川とは違い清らかに澄んでいて、水草も流れに身を任せている。
ロット川へはこのように流れ出ている。
ヴァラントレ橋とその奥の堰の粉挽きの建物。
反対側には鉄橋。

ヴァラントレ橋を渡り終わる頃、巡礼者たちが写真を撮ってもらっていたので、邪魔にならないように待っていた。
それが終わって去って行ったので、私もホテルへ急ごうと歩き出したら、写していたおじさんが撮ってあげようという。せっかくなので私も写してもらったこの写真、背後に巡礼者や自転車で旅する人などが写っているのが気に入った。
そしてお礼におじさん(私より若いが)も1枚。

    カオール バルバカヌ←      →カオールからブジエへ

関連項目
カオールで朝散歩3 カオール駅へ
カオールで朝散歩1 ヴァラントレ橋
カオール サンテティエンヌ司教座聖堂

参考文献
「中世の街角で」 木村尚三郎 1989年 グラフィック社
laissez-vous conter Cahors」というパンフレット Emmanuel Carrère 発行年不明 service communication ville de Cahors