お知らせ

イスタンブールでミマールスィナンの造ったモスクを見ていて、その前はどんな形のモスクだったかが気になって、オスマン帝国の古都を旅してきました。最後にはまたイスタンブールを訪ねます。 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2018年10月29日月曜日

ロカマドゥール 中世の町


大階段から聖域を出て中世の町へ。

大階段を下りて
振り返る。
少し離れて見ると、門の上の司教の館や丸い監視塔が要塞のように立ちはだかっている。
聖王ルイの礼拝堂前の通路から見下ろしたのはこの辺りだった。

聖域への門の前から出ているメルスリ通り(Rue de la Mercerie)は人気がない。掃除をしている人がいるだけ、他の人はどこに・・・
レストラン前の広場から土産物屋が並ぶ通りの先に聖域の建物に沿って大階段は続いている。
更に、大階段を下りずに聖域の外側の通路を通る人たちも。
大階段は右に曲がり、
その先の踊り場で休憩を兼ねて皆が立ち止まる。壁にはロカマドゥールへにやって来た著名な巡礼者の年譜を記したパネルがあった。
12-16世紀は、ロカマドゥールが西ヨーロッパで大巡礼の一大拠点であったという。
『中世の街角で』は、険しくそそり立つ断崖絶壁の上に、7つの教会がひしめいている。いまにもアルズー峡谷に、こぼれ落ちんばかりである。
往時の巡礼者たちはここまで、足ではなく膝で、血を流しながら上がっていった。今は別の場所に大きなエレベーターがあり、近くまで一挙に上がることも出来る
という。

そんな大階段を下りていったが、登る人たちを見かけたのでその後ろ姿を。
現在では膝で上がるはおらず、この大階段を登る人さえ少数派である。
階段途中から見下ろすと、土産物屋だけでなく、バーの看板も。
柵の先の崖には歴史の積み重なりが現れていた。赤いパラソルは聖域の門を出て近くにあったレストランのもの。
階段を下りきったところの断崖に水が染み出ていたが、神聖な水ということもないようだ。
大階段が終わり、車が駐めてあるだけのカレタ広場(Place de la Carreta)からクロヌリー通り(R.de la Couronnerie)へ。
やっとポストがあった。今回の旅では、訪れたところで絵はがきを投函しようと思っていたが、ポストがなかったり、書いている時間がなかったりしてなかなか出せていなかったので、やっと果たせる。

バルの向こうにタバ(tabac、たばこ屋)の赤い看板も。
土産物屋がなければ雰囲気のある古い街並みなのに。しかし、当時もこんな風に巡礼者目当てのお店が並んでいたのかも。
サルモン門(Porte Salmon)。またもや妙な合成😆
門と監視塔が合体したような。市壁ぎりぎりにあった門のようで、今では外側からも通行可。
サルモン門を出ると上り坂となり、町の外れにフィギエ門(Porte du Figuier、イチジク門)、ずっと先でロカマドゥールを一望したオスピタレ村までつながっている。
少し進んだところにエレベータ(ascenseur)乗り場がある。木村尚三郎氏のいうエレベータはこのことである。
この前で集合ということで自由時間となった。

私は切手を買いに引き返した。郵便局はなかったが、タバで扱っているという。
タバはそう遠くなかった。しかし行って見ると切手は売っていない。断崖の上に郵便局があるとのことだった。
他にもタバか切手を売っている店がないかと大階段を過ぎてクロヌリー通りを進んでいくが、土産物屋や飲食店以外にはなく、とうとう別の門が見えてきた。それと共に観光客も減っていく。
このユゴン門(Porte Hugon)も市壁がなくなって、門だけ残っていた。
こんな残り方も、壁の内部がわかって面白い。
門の外の断崖には道が二段。どちらが聖域に続くメルスリ通りだろう。
空き地を挟んで風情ある町並みが続く。
ここからは下り坂。レストランはあるが、他は住宅や空き家のよう。
またしても門。ここまでやってくる人は少ない。
建物が途切れて対岸が見えた。ここから見える石灰岩の岩壁は、ロカマドゥールほどには切り立っていない。
アルズー川の対岸に小さな円塔が。
カオールで見かけた円塔は円錐形の屋根はなかったが、この円塔は円錐形の屋根に松ぼっくり状のものが短い支えの上にのっている。それが明かり取りらしく、小窓は監視するためのもの?
バス門(Porte Basse、下の門)を通り過ぎて見ると、やはり要塞の色が濃い。
その先にも家があるので近づいてみると、
クスタル・チーズ製造所(fromagerie du COUSTaLOU)というお店で、パンの他にセーターも売っている店のよう。
ロカマドゥールはRocamadourという山羊の小さなチーズ(cabécou)が有名。カベクはブジエに向かう途中のサンジェリの日曜市ですでに買ったが、町々で味が違うということなので、ロカマドゥールでも買ってみたい。
店に入るとショーケースにさまざまなチーズが並んでいたが人がいない。声を掛けたが誰も出てこなかったので買えなかった。

バス門から戻っていく。
ユゴン門を今度はくぐり、
大階段の先に聖域が少し見える。
ここからは早足でサルモン門を通り抜け、集合場所のエレベータ乗り場になんとか時間内に滑り込んだので、ロカマドゥールのチーズは買うことができなかった。
エレベータで聖域のサンマルシアル門の外へと上がる。
サンマルシアル門から次のエレベータ乗り場へと向かう通路から聖域と司祭館を振り返る。
そしてオスピタレ村も遠望して、
断崖の中に造られた宇宙基地のようなエレベータ乗り場へ。

そしてレストランで昼食。
皺加工したテーブルクロスとナプキン。その間から二段重ねのお皿の絵がはみ出している。
尾と足の長い鳥と草花の可愛い文様
裏にジアンという窯元の製品で、天国の鳥が窯印になっている。
ジャガイモ・カボチャ・ポロ葱のスープと同じ色のアプリコット・ジュース。
メイン。右からローストビーフ、ハーブやナッツのペーストをのせて焼いたトマト、サヤインゲンのソテ。
デザートはイル・フロタン(ile flottante、フローティング・アイランド)。深い鉢にたっぷりのカスタードクリームにメレンゲが浮いていた。ちなみにフランスではデザートに付いてくるスプーンは料理に出るのと同じ大きさ。
レストランには聖域の聖母聖堂にあった黒マリア像の大きなレプリカが置かれていた。
そしてマンテマやタマリスクなどの野の花が飾られていたり、
レストランの庭には古そうな洗礼盤に白い花々が植えられたりと、とても雰囲気の良いレストランで、嬉しい思い出となった。

ロカマドゥールを出発したバスはオスピタレ村に入り、
オスピタレ教会(Église de l’Hospialet)近くのロータリーを回ってフィジャックへ。

     ロカマドゥール2 聖域←    →フィジャック サンソヴール聖堂

参考文献
「ROCAMADOUR admirer contempler prier」 P.Clément Nastorg 2005年 Édition du Signe
「Rocamadour Haut Lieu de Pèlerinage」 Didier 2006年 APA-POUX-ALBI
「中世の街角で」 木村尚三郎 1989年 グラフィック社