お知らせ

イスタンブールでミマールスィナンの造ったモスクを見ていて、その前はどんな形のモスクだったかが気になって、オスマン帝国の古都を旅してきました。最後にはまたイスタンブールを訪ねます。 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2018年10月15日月曜日

ロカマドゥール1 十字架の道を下る


ロカマドゥール(ドルドーニュ渓谷の観光案内所でもらった地図より)
ロカマドゥールは断崖に沿って、上から司祭館(château)、聖域(Sanctuaire)、中世の町(Cité Médiévle)という三段構成になっている。
十字架の道はキリストが自ら架けられる十字架を担いでゴルゴダの丘を登らされた苦難の道を、巡礼者たちが追体験することができるようつくられたものだが、『ROCAMADOUR admirer contempler prier』によると20世紀につくられたもの。
ロカマドゥールの聖域の北東端から始まるその道はジグザグに登って、司祭館と同じ高さの断崖の上に行き着くようになっている。

バスで司祭館のある崖上まで移動し、ある門を入っていく。
司祭館が目の前に現れた。

この高さからは前方の崖の上にオスピタレ村が見える。ほぼ同じ標高の丘陵がアルズー川に沿った両岸に続いている。
オスピタレ村の背後の丘陵が少しだけ頭を出している。こんな風に丘陵が幾筋も並ぶ地帯だった。
写し損ねたエルサレムの十字架

司祭館の方へ。崖側の手すりは、強度は十分あるのだろうが、細くてやや心配。寄りかからないように歩いて行く(歩くだけなら寄りかかることはないのだが)。
石垣が終わる辺りに階段が。
階段の下は広場になっていて、崖に洞窟があるみたい。インドの石窟寺院にやって来たような錯覚が。
階段の取り付きには十字架の付いた祠があり、その中に十字架降下の場面が浮彫に彩色で表されている。
これはstationと呼ばれるもので、『ロワイヤル仏和中辞典』に、stations de la croix 十字架の道行きの留(りゅう)[キリストが十字架を背負ってカルヴァリの丘に登った時に休んだ所]とあった。
本来は聖所から登って最後にある留なのだが、我々は楽して下っていくので、順序としては逆になる。 
13留:浮彫の下はフランス語の説明があった。「イエズスは十字架から降ろされ、聖母に引き渡された」
洞窟内は高い台座のうえに立つ円柱が、かなり深くまで並んでいる。そこには十字架から降ろされたキリストを聖母などが囲んでいる像がある。キリストの埋葬の場面という。
柵が閉じられているのでよくは分からないが、広場もあって、ここで復活祭の前に儀式が行われていたのだろう。
広場のもう一つの端の留
12留:イエズスは十字架の上で死んだ
息絶えたキリストと、その十字架にすがって聖母やマグダラのマリアなどが悲しむ場面。
振り返ると、我々同様楽してゴルゴダの丘を下る人たちがどんどんやってくる。
ここからは道がジグザグになっていて、
その角には留と呼ばれる祠があり、十字架を背負ってゴルゴダの丘を登るキリストの場面を遡りながら見ていく。
11留:イエズスは十字架に架けられる
それでも森の中を歩いて行くのは快適だった。
10留:イエズスは服を脱いだ
樹木は相対的に幹が細い。
9留:イエズスは三度目に倒れた

下方を見下ろすと、ちょっとした広場の向こうの道を敬虔な信徒たちが登ってくる。右の脇道の先には洞窟が。
8留:イエズスは着いてきたイスラエル人の少女たちを慰めた

ピントが合わなかったが、左側の植え込みにアカンサスが咲いていた。アカンサスは日当たりの良い場所に柵ものと思っていたので、こんな木陰の中でも咲いていてびっくり
7留:イエズスは再び転倒した
脇道の洞窟はキリストの聖誕を表す。小さな聖母子像や木の十字架などが安置されていた。

再び下っていくと、上方に高架になった参道が。断崖を穿って設けた通路だとばかり思っていた。
6留:ある信心深い婦人がイエズスの顔を拭った

この頂点が向こう岸の丘と同じくらいの高さ、かな?
突き当たりまで進むとロカマドゥールの町並みの先に続くオスピタレ村というのが見渡せたが、肝心の所が枝に隠れてしまった。
したのアルズー川、やっぱり水の流れが見えないのだが、これまでは大雨で増水し、濁った川ばかり眺めてきたので、不思議な光景でもある。
これは司祭館ではなく、崖の中段にある聖域の建物。

勾配がなく、距離のある道を下ってきたものだ。
5留:イエズスが降ろした十字架をクレネのシモンが担いだ
長衣を着たイエズスの前で担ぐ人がシモン

木陰のせいか花が少ないのが残念。
4留はちゃんと写していなかった。

森が明るくなってきたので、そろそろ終点かな・・・
このあたりでオニクの類を見つけた。日本では見たことがないのに。
3留:イエズスは初めて十字架を落とした

奥に見えている断崖の上は展望ポイントのよう。通ったかな?

そしてもう少し下って幾折れかしてきた来し方を見上げる。
その先の2留:イエズスは自分が架けられる十字架を担ぎ上げた

森を抜けたところに1留が。
1留:イエズスは死刑を言い渡された

折り返すと聖域への門が

休憩時間にオスピタレ村や
司祭館、聖域、市街というロカマドゥールの三段階の構成が側面から見えた(縦と横でよく合成できたものだ)

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参考文献
ロカマドゥール観光案内所の地図
「ロワイヤル仏和中辞典」 1984年 旺文社
「ROCAMADOUR admirer contempler prier」 P.Clément Nastorg 2005年 Édition du Signe