お知らせ

中央アジア各国そしてイラン旅行記が完成し、フランス南西部のオクシタニー地方の旅に入りました。
その中で気になるものについては、忘れへんうちにに記事を載せていきます。

2018年8月20日月曜日

モワサック サンピエール聖堂


トゥールーズと共にモワサック(Moissac)もサンティアゴデコンポステラへの巡礼路に巡礼路にある町だが、当時は別の巡礼路だった。
『中世の街角で』で木村尚三郎氏は、むかし、11世紀から13世紀にかけて、巡礼たちは魂の救いを求め、家族の病気の回復を祈りながら、ル・ピュイ、コンクを通って、この地モワサックを訪れ、さらにここからスペイン北部の聖地のサンチャゴ・デ・コンポステラを目指して、苦難の旅をつづけていった。山の中のコンクを抜けてモワサックに辿りついた巡礼たちは、この穏やかな川と風景の佇まいに、どれだけホッとし、旅に疲れた心をいやし、和ませたことであろうかという。

トゥールーズから高速道で北方65㎞のモワサックへ。
Google Earthより

少し下流でガロンヌ川に合流するタルン川をナポレオン橋から渡る。赤茶けた川の水は大雨の後だからだそう。
ガロンヌ運河きこの町にも。船着き場の跡?
ナポレオン橋からは見えなかったが、この運河はタルン川を立体交差で越えてトゥールーズまで続いている。
運河の下流側
運河の傍の建物。小さな町は建物も低い。

町中の狭い道から駐車場へ着いたと思ったら、その前方がサンピエール聖堂だった。
鉄道の上に道路や駐車場が造ってあるので、
Google Earthより
地上へと下りていく。

サンピエール聖堂の西正面にはタンパンはないし、やや尖頭アーチ気味で、上層のアーチの中にはガラスが嵌め込まれていたりも溝彫りの太い柱が2本あったり、更に上には狭間の並ぶ胸壁があってファサードとは思えない。
その上このオブジェ・・・
西面でロマネスクっぽいのはモディヨン(軒飾り)
髪や髭が房のように表されていて、特に右の女性は三筋ほどの房が両側から中央に寄せられていて、メソポタミアの角冠を思わせる。

南扉口へ回る。サンピエール聖堂は南にファサードがある。
『Moissac porte du ciel』は、このファサードの壁は2つの時代に、2つの建材で建てられた。下の方は12世紀のロマネスク様式の白い石で、上部は15世紀のゴシック様式で高くしたバラ色のレンガという。
このファサードに向かって両側がら下り階段になっている。
南ファサードは離れないと鐘楼が見えない。狭間は2列に並ぶというものものしさ。

サンピエール聖堂は南扉口がファサードとなっていて、ここにタンパンがある。
トゥールーズのサンセルナン聖堂南扉口ではタンパンの下に柱はなかったが、ここではタンパンが大きいので、長い楣石が受ける重量を軽減するために中央柱(トリュモー)が楣石を支えている。
タンパンは玉座のキリスト。それを24人の長老がそれぞれ見上げている。楣石は大きなロゼッタ文が連続する。
中央柱(トリュモー)と左右の波状の「抱き」
トリュモーには交差する牝ライオンが3回繰り返えされる。そして左右には預言者像が。その浮彫像がすごい!
詳しくは後日

タンパンを見学後、観光案内所(地図i印)の模型で説明を聞いた(観光案内所のパネルより)。
聖堂の南壁は下の切石積みで窓が半円アーチのところがロマネスク様式(12世紀)で、上のレンガと尖頭アーチ、そしてステンドグラスがあるのがゴシック様式(15世紀)。

観光案内所は昔は酒蔵だったところで、
模型で南扉口上部の複雑な構造がわかった。何故か鐘楼と扉口の間に空間があるが、鐘楼も赤レンガなのでゴシック期に造られたのだろう。
サンピエール聖堂平面図(観光案内所のパネルより)
『Moissac』は、モワサックのサンピエール修道院は、シャルルマーニュの息子ルイ敬虔王によって、9世紀初頭に創設された修道会に所属しているという。
その時の教会の上にロマネスク期に教会が再建され、ゴシック期に改築されたのがほぼ現在の姿。

内部から見た南扉口
それぞれ熱心に浮彫を見つめている。
拝廊(ナルテクス)の柱頭は植物とライオンのたてがみが合体したような不思議なもの。左側は各角の渦巻の代わりにライオンの頭部があるし、右側は鹿の首がのぞいている。なんて楽しい発想。
拝廊の天井は太いリブ(肋)が交差した12世紀のロマネスク様式。この上には何もない。
身廊は交差ヴォールトと尖頭アーチの窓の15世紀のゴシック様式。
ミサの時に信者が坐る長椅子の列の奥に木製の聖職者席、そして最奥部には16世紀の祭壇。
身廊に入ってすぐ上の交差天井。階上廊の手すりが見えているが、途中までしかない。
ここも切石で造ったかのように天井や横断アーチに描かれている。

階上へは回廊側の螺旋階段から。
2階(フランスでは1階)には12本の太いリブで支えられた高い円天井のある広間はサンミシェル(聖ミカエル)礼拝室。この上に鐘楼がある。
『Moissac ABBAYE SAINT-PIERRE』は、天上のエルサレムを思わせるサンミシェル礼拝堂という。
柱頭彫刻を写し損ねた。ここも12世紀に白い切石で建造されたもの。右手のアーチにはガラスが嵌め込まれていて、
身廊を上から見渡すことができる。
その隙間から身廊を眺めると、奥の白い祭壇は違和感がある。
天井だけでなく、壁面にも彩画されているのがよくわかる。ただし、起柱石は蔓草が透彫された石材である。

観光案内所から回廊へと向かったので、入ったところが回廊の西北角だった。
西の回廊
北の回廊
あまり高くない位置に柱頭が並んでいるが、トゥールーズのオーギュスタン美術館のロマネスク美術展示室にあった柱頭よりも大きく感じた。
中庭をはさんで、サンピエール聖堂の鐘楼と北壁が見える。
柱頭彫刻に目を奪われながら回廊を巡っていると、どこにいるのかわからなくなるが、中庭にあるこの大きな杉のおかげで、自分の位置を確認することができる。

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関連項目
サンピエール修道院 北回廊柱頭
サンピエール修道院 東回廊柱頭
サンピエール修道院 南回廊柱頭
サンピエール修道院 西回廊柱頭
サンピエール聖堂 南扉口

参考文献
「中世の街角で」 木村尚三郎 1989年 グラフィック社
「図説ロマネスクの教会堂」 辻本敬子・ダーリング益代 2003年 河出書房新社(ふくろうの本)
「Moissac porte du ciel」 Pierre Sirgant 発行年不明 Jean-Michel Mothes
「moissac ABBAYE SAINT-PIERRE Guide de visite」 Pierre Sirgant 1986年 l’association Montmurat-Montauriol