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イスタンブールでミマールスィナンの造ったモスクを見ていて、その前はどんな形のモスクだったかが気になって、オスマン帝国の古都を旅してきました。最後にはまたイスタンブールを訪ねます。 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2006年11月16日木曜日

松屋常盤 11月のきんとんは「梢の錦」


11月になったら松屋常盤の美味しいきんとんが食べたいとずっと思っていた。去年も奈良国立博物館で正倉院展を見た後、京都の地下鉄烏丸線に乗り入れている近鉄の急行に乗ってきんとんを買いに行こうと思ったが、3日前までなら大丈夫と思い、ぎりぎりになって予約の電話をかけたらもう一杯ですと断られた。11月は炉開きのため、お茶会が多いのでだめなのかなとも思ったが、今年は早目に予約したらOKがでた。

松屋常盤は京都御所の丸太町通に面した堺町御門から堺町通を南に下がったところ、丸太町通の1本南にある竹屋町通から北に上がっても同じくらい歩いたところの西側にある。堺町通は西の烏丸通と東の河原町通のほぼ中間にある。JR京都駅への連絡なら地下鉄のある烏丸通の方が便利だ。
京都の交差点には「堺町(通)丸太町(通)」とか「堺町(通)竹屋町(通)」というように縦書きの道標が必ず建物の角にある(通があったかどうか忘れた)。それを探しながら行くと分かり易い街である。今回はカメラを持って行かなかったので道標を写せなくて残念だった。
さて、念願かなってきんとんを買いに松屋常盤に行くと、いつものようにお店の人(今回も若い方の人)が予約のお菓子を入れた袋の間に正座してはりました。名乗って自分のお菓子の袋を受け取り、お金を払う時「味噌松風の端はありますか?」と聞いてみた。以前にミミは今でも売っているらしいことを知ったので、あわよくば懐かしい松風の端っこもゲットしたいと目論んでいた(松屋常盤 味噌松風で見て下さい)のだ。
しかしお店の人はあっさりと言った「今日は端は出なかったんです」。あちゃ~、今回もあかんかった!
「パンのミミみたいな切り端を集めた袋」がどんなものか、きっとあっさりした白い紙袋だろうと想像しながら楽しみにしていたのに。

一度店の外に出たが、名前を聞くのを忘れたことに気が付いてまた暖簾をくぐった。「このきんとんの名前を教えて下さい」奥からお店の人が出てきて「こずえのにしきです」と言った。「梢の錦」か仮名書きか、仮名の方がここのきんとんには似合っているような気がする。

梢の錦とはどんなきんとんだろうか、家に帰り着くまで想像を巡らせてみた。今年は暖かく紅葉が進んでいないので、まだ青い木の一枝だけ色づいているのを表したような色合いなのだろうか。松屋常盤のきんとんは色が淡い(写真に写すと濃くなってしまうことがあるが)。
きっと草色の上にちょこっと赤いのがのっているのだろうと思いながら帰宅後箱を開けてみると、この雑な私が細心の注意を払って持って帰ってきたというのに、10個のお菓子が箱の6分くらいに寄ってへしゃがってしまっていた。ひしゃがっていても、何ともはんなりした、京都らしい、しかし松屋常盤ならではの色合いだった。

    菓子器 秋草文鼠志野 窯印ム

その中から一番ましなのを撮ろう。どのお皿にしようかと迷ったが、はんなりしたお菓子は地味な色のお皿にしよう。 そうそう鼠志野のお皿があった。
お皿が大きくてせっかくのきんとんがよくわからないので、お菓子をアップにしてみました。いかがでしょう。わざと中の粒餡が見えるように写してみました。

うっかりとお菓子の断面を写し損ねたので、「和菓子礼讃」さんの画像 松屋常盤きんとんにてどうぞ。他の季節のきんとんも載っています。

そして、お菓子のはんなりに合わせて、茶碗もはんなりした秋らしい斗々屋で抹茶を頂いた。

  茶碗 斗々屋  窯印不明「か」か「や」のような

松屋常磐の包み紙は何時の時代に作られたのかと思う。「御菓子調進所 平安京堺町御門南入 松屋常盤」と箱の全面に大きく筆書きされ、きんとんには五色の紐で中央に一本結んである。開いてみると、ペン書きのような後で付け足した電話番号が古い漢数字で書かれている。そして、紙袋には違う人の筆で「美味雅趣有 びみがしゅう」、側面には「四季おりおり 優しく嬉しい口福あり 心もほほえむ 美味甘味」と書かれている。

いつかは食べたい味噌松風のミミ!