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イスタンブールを旅してきました。目的は、ミマール・シナン(正しい発音はスィナン)の建てたモスクやメドレセ・ハマムなどや、ビザンティン帝国時代の聖堂の見学でした。でも、修復中のものもあり、外観すら望めないところも多く・・・ 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2013年10月7日月曜日

ペロポネソス半島5 オリンピア7 博物館3 ゼウス神殿のメトープ


ゼウス神殿のメトープ 前470-456年
『オリンピアとオリンピック競技会』は、ゼウス神殿の前室と後室のフリーズのメトープ(浮き彫り額)には、ヘラクレスの12の難業の場面が描かれていた。このフリーズは、合わせて12のメトープから構成されている。
ギリシャの代表的英雄として知られるヘラクレスはゼウスの息子である。オリンピック競技会の創始者であったとも言われているという。
それは現在はオリンピア考古博物館第5室の南北壁に展示されている。東西壁の両破風と同じ厳格様式の彫刻である。

入口から入ってすぐの南壁面には、前室(東側)のメトープが展示されている。
エリマントスの野猪を生け捕ること
トラキアの王ディオメデスの牝馬を捕らえてくること
ゲリオネスの牛を連れて来ること
南壁西側は比較的よく残っているメトープが並んでいる。
ほぼ等身大の大きな浮彫。これくらい大きくしないと下から見上げても何が表現されているのか分からなかったのだろうが、それにしてもこんな大きなものが円柱の上に載せられていいたとは。
ヘスペリデスの園のりんごを取ってくること
同書は、ヘラクレスに黄金のりんごを差し出しているアトラスと、アトラスに代わって球を肩に担いでいるヘラクレス。女神アテナが片手で球を支え、ヘラクレスを助けてやっているという。
冥府の番犬ケルベロスを捕らえて来ること
アウゲイアス王の厩の掃除
同書は、ヘラクレスの姿はアウゲイアス王の厩の掃除の場面では、アテナは手にした槍でヘラクレスが掘るべき場所を指し示しているという。
アテナの着衣の衣文が美しい。

入口奥の北壁面には後室(西側)のメトープがそれぞれ展示されている。
ネメアのライオンの皮を取ってくること
レルナの沼に棲む水蛇を退治すること
ステュンバロスの森に棲む怪鳥を追い払うこと
撮り忘れたものもあった。

クノッソス宮殿のミノタウロス(牛頭人身)を退治すること
 ケリネイアの鹿を生け捕りにすること
 そして、アマゾンの女王ヒポリュテの帯を取って来ること


『オリンピアとオリンピック競技会』は、正式な表彰式は、競技会の最終日にゼウス神殿の前室で執り行われた。前室の中の正確な場所は、ヘラクレスの12の難業のうちの6場面が描かれていた浮き彫りフリーズの真下である。そこでオリーブの小枝で編まれた冠(コティノス)が優勝者の頭に載せられたという。
前室はイン・アンテス式で2本の円柱があるだけの開かれた空間だったので、観衆たちもオリーブの冠が載せられる場面を見ることができただろう。

オリンピア6 博物館2 ゼウス神殿破風の彫刻← →オリンピア8 博物館4 青銅の楯

関連項目
オリンピア12 オリンピアのトロスはフィリペイオン
オリンピア11 宝庫の軒飾り・棟飾り
オリンピア10 スタディオンの西に並ぶもの
オリンピア9 ヘラ神殿界隈
オリンピア5 ゼウス神殿
オリンピア4 博物館1 フェイディアスの仕事場からの出土物
オリンピア3 フェイディアスの仕事場
オリンピア2 オリンピック競技のための施設
オリンピア1 遺跡の最初はローマ浴場

※参考文献
「古代ギリシア遺跡事典」 周藤芳幸・澤田典子 2003年 東京堂出版
「OLYMPIA THE ARCHAEOLOGICAL SITE AND THE MUSEUMS」 OLYMPIA VIKATOU 2006年 EKDOTIKE ATHENON S.A.
「オリンピアとオリンピック競技会」 ISTEMENE TRIANTI,PANOS VALAVANIS 2009年 EVANGELIA CHYTI