お知らせ

イスタンブールでミマールスィナンの造ったモスクを見ていて、その前はどんな形のモスクだったかが気になって、オスマン帝国の古都を旅してきました。最後にはまたイスタンブールを訪ねます。 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2017年1月16日月曜日

テルメズ考古博物館1 1階展示室


午後はテルメズの市街地に戻り、考古博物館へ。
修復中で1階だけの見学とは聞いていたが、足元も悪く建物までたどり着くのも大変。
内部はこんな簡素で、朝散歩で見えたようにドームがあり、モスク風。でも、ピンクの壁の上部は凸字形(これも鋸歯)の胸壁が並んでいて城壁風。奥壁には城門もある。
その城門の扉口には円盤が。
何故かコイン風。
これはバフショーというアムダリヤの神で、左手に魚を持っている。右手に持つ杖は賢さを示す。アムダリヤの傍に済んでいれば、食べ物に困らないことを示しているという。

順番ではなく、出土地でまとめてみると(一部別室のものもあります)、

古テルメズ出土物

エンタブラチュア(博物館では仏語のentablement、アンターブルマンを使っている) 後2-3世紀 大理石のような石灰岩 人物とライオンの浮彫
列柱の上にのっている横架材で、それぞれの層に文様が刻まれ、4層が残っている。
下から1層目はアカンサスの葉とライオンの頭部が交互に並ぶ。
2層目は尖頭アーチ形の下に、3/4右向きの人物が並ぶ。
3層目はアカンサスと出っ張りのあるトリグリフが交互に並ぶ。
4層目は格子状の文様
このアカンサスは中央に花茎が出て蕾を付けているような。
建築装飾 2-3世紀 大理石のような石灰岩 蓮華と象
モティーフは極めてインド風。蓮華には見えないが、多弁の花を表したのは確か。
大きめの丸い柱礎の上には円柱があったのだろうが、その向こう側の小面には、曲がった鼻と大きな牙。牙が突き出ているので、象が裏面からこちらに向かって来るような迫力がある。
グリフィンの浮彫の建築装飾 2-3世紀 大理石のような石灰岩 コーニス(建物上部の出っ張ったところ)の角
獅子グリフィンの口は中空なので、アスクレピオス神殿(禅380-370年頃)の軒に並んだライオンの顔と同じように、樋口の役目があったのかも。
腰には別のグリフィンの前肢が置かれている。
柱頭 1-3世紀 
上下逆に展示されている。アカンサスの葉が力強い。
なんとセルゲイさんは持ち上げて、本来の柱頭として見せてくれた。
やっぱり逆さまになっているのと印象が違う。
こちらは柱側が四角い。角柱の上に載っていたものだろう。
小型の柱礎 1-3世紀 
様々な大きさ、形があるので、奉納品のものかな。
2人の人物像 1-2世紀 ズルマラ出土
ズルマラには、現在はストゥーパしか残っていないが、造立時には僧院、あるいは寺院もあったはず。そのような場所から出土したのだろう。菩薩の群像だろうか。

ファヤズ・テパ遺跡出土物

仏像 2-3世紀 
2段にそれぞれ仏坐像が彫られている。
下段は、禅定印の釈迦、悟りを開いた時の姿。
上段は、欠落している手の位置から推測して、転宝輪印を結ぶ釈迦説法図。釈迦の右腕の奥には金剛杵を持つ執金剛神もいる。
ガンダーラ風の浮彫で、どちらの仏も着衣は通肩だが、印相の違いで膝前などの衣文が少し異なっている。
小さな穴がたくさんあるのは、別の浮彫と結合させたためだろう。主尊の周囲にこのような場面の小さな浮彫を積み重ねて、龕のようになっていたのかも。
下段の釈迦は頭部を菩提樹で包まれている。悟りを開いたのは菩提樹の下だった。
仏像の足断片 1-2世紀  
聖なる水槽 1-3世紀 大理石のような石灰岩
講堂の中庭から出土したという。 
正面
小仏像群 2-3世紀 
建築装飾 1-3世紀 石灰岩 
建築装飾 1-3世紀 
太陽神 1-2世紀 アラバスター 
開敷蓮華文付き容器の蓋 1-3世紀 直径7.5-8㎝ 
ところどころに丸い穴があるのが気になる。蓋にしては妙。何かを取り付けていたのだろう。
ファヤズ・テパ遺跡の模型
僧院のシャワールームの場所が判明した。

カラ・テパ遺跡出土物

仏坐像 3世紀 塑造
結跏趺坐した如来像。通肩の大衣が左肩から左腕背後に回って、その衣端の襞がギザギザになって左腕の背後に見えている。
仏坐像 2-4世紀 塑造
結跏趺坐した両膝には着衣が漆喰か泥漿で表されている。衣文が放射状なのは珍しい。

ダルヴェルジン・テパ遺跡出土物

供養者頭部 2-3世紀 石膏
葉冠ではなく、巻毛の房が木の葉のように表されている。  
貴族像頭部 1-3世紀
後日タシケントのハムザ研究所で見たもの、そして以前に『偉大なるシルクロードの遺産展』で見た貴族像頭部に似ている。
菩薩像断片 1-3世紀
以前同展で見た菩薩像や、後日タシケントのハムザ研究所で見た菩薩像に似ている。
柱礎 1-2世紀 大理石のような石灰岩
アカンサスの葉を上下から彫り出してその間にリブを出した珍しい形の柱礎だが、円柱は細そう。

浴槽 前4世紀 陶製 クルガンザル出土
なんとこれが一番古かった。もっとも、キュルテペ出土の浴槽(前18世紀、ヒッタイト時代)を『トルコ三大文明展』で見たことがあし、クノッソス宮殿には王妃の浴室もあるので驚かないが。
お湯の排出口を確認しなかった。

大壺 10-12世紀 スルタン・サオダット廟出土
水や穀物を容れていた。他の壺も10世紀以降のイスラーム時代のものばかり。しかも、見るからに厚手のものばかりだった。

   カンプル(カンプィル)・テパ遺跡2← →テルメズ考古博物館2 屋外展示場

関連項目
ハムザ記念芸術研究所2 ダルヴェルジン・テパの出土品
ハムザ記念芸術研究所1 ハルチャヤン宮殿遺跡の出土品
ファヤズ・テパ遺跡2 講堂
ファヤズ・テパ遺跡1 ストゥーパ
ズルマラ・ストゥーパ
「加藤の家」そしてダルヴェルジン・テパ遺跡
国境を越えてハルチャヤン遺跡へ