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イスタンブールでミマールスィナンの造ったモスクを見ていて、その前はどんな形のモスクだったかが気になって、オスマン帝国の古都を旅してきました。最後にはまたイスタンブールを訪ねます。 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2017年1月23日月曜日

キリク・クズ遺跡


ホテル(テルメズ・メリディアン)に戻ってきたが、まだ夕食まで時間はある。
Google Earthより

私は欲張りなので、見学予定以外にも面白そうなところはないかと、事前に調べることにしている。
テルメズでは、キリク・クズやスルタン・サオダット廟に行けたらと思っていたので、ホテルの人か、現地ガイドにタクシーを手配してもらおうと、添乗員に頼んでみた。
すると、セルゲイさんは、キリク・クズは素晴らしい。明朝15分だけ早くホテルを出発して見学しましょうと、添乗員に言い出し、添乗員は、全員が行きたい訳ではないので、と渋るという問答がしばし続いた。日没までに見ることができるのだろうか・・・

ようやくセルゲイさんは諦めて、ホテル前の道路で流しのタクシーを停めて交渉を始めた。流しというのはどうも・・・ と逡巡していたら、セルゲイさんも一緒に行ってくれるという。それなら安心だ。

タクシーに乗って朝通った道を行く。

退け時に当たってしまったため、踏切1の手前で渋滞に巻き込まれた。
これがカンプィル・テパで見た貨物列車の通る鉄道かなどと、渋滞の気を紛らわせていた。
やっと踏切を越えると、右側にナン屋があり、少年が手伝っていた。車を停めては買い求める客が絶えない。

検問所が見えてきて、これを過ぎれば渋滞もなくなるだろうとほっとしたら、係官に呼び止められた。
出入国では時間のかかることはよく知られているウズベキスタンだが、観光客の乗ったバスは問題なく通れたので、今回もすぐに済むだろうと思っていたら、とんでもなかった。
私のパスポートを預かった係官はセルゲイさんに降りろと言った。当然パスポートの持ち主である私も降りるのだろうと思ってタクシーのドアを開いたら、私は来なくて良いと言われた。
秋の日は短い。これで日没前にキリク・キズとスルタン・サオダット廟に行けるのかと、ますます心配になってきた。
何が問題だったかわからないが、長々と待って、やっとセルゲイさんが戻ってきた。観光バスでもないのに、外国人を乗せていることが問題だったのだろうか。セルゲイさんはそれについてはなにもしゃべらない。

しばらく北上、すぐに郊外に出た。道の傍を通っていた鉄道を踏切2のところで越えて東向きに進んでいく。
この線路が、カンプィル・テパの北側へと続いているのだった。

集落に入ると、子供達が遊んでいたり、自転車に乗っていたりする。自転車で帰宅を急ぐ人たちも多い。その間をタクシーは疾走する。
ある地点で本道から右折し、小さな集落に入って行った。

その外れでようやくタクシーは停まった。キルク・クズに到着したのだ。
Google Earthでもはっきりと分かるが、四隅に監視塔、4面中央に出入口のある大きな遺構である。
Google Earthより

セルゲイさんは東側へ向かった。
東門は、壁面から少し奥まったところにあり、幅広の尖頭アーチの上部に三連の尖頭アーチの窓が載っている。
向こうの西門の方に行かないのは、修復されたものだから。
東門は平たい日干レンガで造られているが、下の方は、厚い日干レンガで修復されている。
入ろうとすると、セルゲイさんが北壁を指差した。
一階と二階の窓の間の壁が落ちたため、裂け目のようになっている。

そして門を入ってから、右手の部屋へ。
抜けた尖頭ヴォールト天井の向こうには、裂けるように崩壊した東の外壁がのぞいている。
セルゲイさんは中央部へと向かう。
右手には壊れたヴォールト天井と、二階の三連窓。中央のはちょっと複雑なつくり。
ヴォールト天井が外から見える箇所も。
南側の無理なパノラマ写真。この中央は今まで見てきた遺跡のように、中庭になっているのだろうと思っていたが、遺跡ときどき猫というホームページのテルメズには、考古博物館のクルク・クズ(9-14世紀)の復元模型の写真があって、中央にドームのある、中庭のない大きな遺構だったことを知った。2015年9月に旅行されたということで、その一月後に行った我々は、博物館は修復中で、その模型は見られなかったのだった。また、この方の時も、現地ガイドはセルゲイさんだったみたい。
このセルゲイさん、人の質問にはあまり答えてくれず、自分が見せたいものの方へとどんどんと進んで行くのだった。日暮れが近いので、仕方のないことなのだが。
さあ早く!
でも、その先は行き止まりやん。
いや、見てほしいのは左側だ。
この木の枝に結ばれた無数の布きれ。地元の人たちの願掛け。イスラーム以前の土着信仰が残っている。

崩れた遺構を踏みつけて登っていく。北門とそれに続く部屋の跡。一階部分は修復が進んでいる。二階はほぼ原形を留めていない。
先ほど見に行った、くずれた尖頭ヴォールトと三連窓が見えている。
土と化した日干レンガの壁やヴォールトの上を登っていく。
一体どこに行こうとしているのか・・・
私が登ってくと、
さあ、ここから、この素晴らしい瞬間をカメラに収めて下さい
振り返ると、夕日がキリク・クズの向こうの空に沈まんとしていた。
写し終わると、セルゲイさんは、すでに向こうに下りて行く。
そして、再び夕焼けを眺めた。

また中央部(ドーム下)に戻り、南西へ。
太陽は、とうとう西の厚い雲の間へと去って行った。
遺跡の見学には、日の短い秋という季節は不向きかも。中央アジアにしては暑くなく、快適なのだが。

キリク・クズで、写真を撮りながらセルゲイさんの後を追いかけ、そして質問し続けた、ここはどんな遺跡ですかと。しかし、セルゲイさんは日が沈まないうちに撮影ポイントを巡ろうと早足で進むだけで、質問には答えてくれないのだった。 つづく

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            →キリク・クズで見たかったものと日没後のスルタン・サオダット廟

※参考サイト
遺跡ときどき猫というホームページのテルメズ