お知らせ

イスタンブールでミマールスィナンの造ったモスクを見ていて、その前はどんな形のモスクだったかが気になって、オスマン帝国の古都を旅してきました。最後にはまたイスタンブールを訪ねます。 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2017年2月23日木曜日

ウズベキスタン国立美術館2 建物の扉と室内の装飾


国立美術館では、古いものではなかったが、ウズベキスタンを旅して建物に入る度に見ることになる浮彫された扉や、初めて目にした組子などの木製の伝統工芸品のコーナーがあった。

一枚扉 19世紀 ヒヴァ
縁の文様帯は二重蔓の蔓草文。主文は瓢箪のような形だが何だろう?生命の樹でもなさそうだが、ヒヴァらしく、王宮を飾ったタイルによる壁面装飾の文様に似ている。
木扉 1830年 ヒヴァ、パヤンド・モスク
縁の文様帯が広く主文が小さい。主文は六角形と6点星を組み合わせた幾何学文を植物文が埋めている。
一枚 19世紀 ヒヴァ、マドニヤズ・ディヴァンベキの住居
やはり、ヒヴァのメドレセファサード生命の樹のような文様に似ているように思う。
二枚扉(片側) 19世紀 ブハラ
主文が3つに分かれヒヴァのような大胆さがない。言いかえれば繊細である。
バグダディ扉 19世紀 ブハラ
バグダッド風という意味だうろか?浮彫する枠内を深く彫り込んでいるのが特徴的。

窓際には組子の衝立が。夏の強烈な日差しを和らげるのだろうか。しかし、逆光になるため見にくいし、写しにくい。
ウズベキスタンで組子細工を見ようとは!
竹中大工道具館 常設展示図録』は、欄間や間仕切り、障子などに用いられる組子は、木を細く挽き割った棒状の木(組手、くで)に細工を施し、釘などを一切用いずに組み合わせた飾り。繊細で華やかでありながら、建具としての強度も兼ね備えているという。

組子 19世紀初頭 マルジェラン
基本的には正方形を斜めにした斜格子。
組子 1827年 マルジェラン
中央の縦横文様に似たものは、トルクメニスタン、クニャ・ウルゲンチのトゥラベク・ハニム廟(1370年)のや、ヒヴァのタシュ・ハウリ宮殿で2階の手擦りにもあったが、幅が広いので透彫だと思っていた。
組子 1838年 タシケント
これも基本的には同心方形を斜めにして上下に連続させている。交互に縦横に細かい桟が入れてある。
組子 19世紀初頭 マルジェラン
これも正方形を組み合わせた細工で、障子にもありそう。周りの密な斜格子が主文を引き立てている。
組子 19世紀 マルジェラン
中央の4つが正方形、その外側を八角形が巡っている。更に外側は幅広の四角形。

大きなスザニの下には組子の小さな衝立そして小卓など
こちらにも。

ルタとザンジラ(RUTA&ZANDHIRA) 浮彫石膏 18世紀初頭 ブハラ
蔓草文がルタかな。左右の文様帯は半分のロゼット文の組み合わせのようにも見える。
パネル 18世紀初頭 手彫りの浮彫石膏 ブハラ
ロセッタ・5点星・六角形を組紐文で構成し、その中に植物文を浮彫している。タイル壁面の文様でもお馴染み。
パネル 18世紀初頭 手彫りの浮彫石膏 ブハラ
日本風に表現すれば、格狭間に植物文を浮彫してある。

コサモン 1813年 ブハラ
このように壁に作られた装飾的な小さな龕を、ウズベク語ではkosamonと呼ぶらしい。
上の段には左右に一輪の花を挿した水差しが描かれている。まさかこれが水月観音や白衣観音の傍に置かれた水甁に由来するものではないと思うが。
ヒヴァのクニャ・アルク(古い宮殿)の玉座の間も、玉座の反対側の壁面がコサモンになっていて、その中にいろんなものが置かれていた。
パラペット?(監視用の建物の窓かも) 大理石

  ウズベキスタン国立美術館1 ハルチャヤンの出土物


※参考文献
「竹中大工道具館 常設展示図録」 2014年 公益財団法人 竹中大工道具館