お知らせ

イスタンブールでミマールスィナンの造ったモスクを見ていて、その前はどんな形のモスクだったかが気になって、オスマン帝国の古都を旅してきました。最後にはまたイスタンブールを訪ねます。 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2011年9月24日土曜日

1-43 シルケジ駅で夕食

予定では、ガラタ塔(Galata Kulesi)からシルケジ駅まで歩くことにしていた。
16年前にムスル・チャルスュス(スパイス・バザール Misir Çarşisi)から新市街の宿泊ホテルに帰る時、タクシーがなかなかやってこないので、ムスル・チャルスュスで待っているよりも、ホテルの方へ進みながらタクシーを探そうということになった。それでも空車はなかなか通らず、あせってガラタ橋を走り抜け、渡りきったところでやっと捕まえることができた。
それで今回は、ガラタ橋をゆっくり歩いて通りたかったのだ。しかし、ガラタ橋の通りまで下りて来ると、やっぱりトラムヴァイに乗ろうということになってしまった。
今朝買ったジェトンは残り2個、トラムヴァイとメトロを乗り継ぐのに必要だった。
もう1個買わないと
カラキョイ(Karaköy)駅を見回すと、端にジェトン販売機があった。朝紙幣で買おうとしてなかなかうまくいかなかったが、コインを使うとあっさりと買えた。
トラムヴァイはやっぱ混んでいて、ガラタ橋(Galata Köprüsü)から海峡側を撮すことなど到底無理だった。

大きな地図で見る

シルケジ駅で下車、金角湾(Haliç)が少し見えた。
暑いので、スルタンアフメット公園で買った凍った水はもうなくなってまったので、まず水を買う。
赤と白の縞々の店に人だかりがしているので、行ってみるとキオスク(トルコ語の四阿という意味のキョシュキュköşküからきている)だった。水を買うと安かった。
国鉄シルケジ駅(TCDD Sirkeci Gari)はそんなに大きくなかったが、アールヌーボーの雰囲気。
時計(止まっていた)塔のある建物から入るのかと行ってみたが工事中でダメと言われた。その向こうがレストランだったがやっぱりこちらからは入れなかった。
引き返して入れそうなところのドアを開くと待合室だった。構内側も円窓がステンドグラスになっている。
通り抜けると駅の構内。近郊列車が止まっている。そちら側には改札口がある。
1番ホームの国際線にはオリエント・エクスプレスはやっぱりいなかった。今でも年に2回ほど運行されているらしいのだが。
左向こうがレストラン。レストランの位置と列車の進行方向が、自分の記憶と逆だった。
どんな記憶や?『オリエント急行殺人事件』の映画かな?確かめて見ると、映画は全然違う駅で撮影されたらしく、レストランは全然映っていなかった。
この時5時。今日は早めに行動開始したのと、トラムヴァイに乗ったので、予定より1時間も早めに到着した。
レストランはその名もオリエント・エクスプレス、中でも食べられるが、やっぱりホーム側で食べたい。皆そうしてるし。
メニュの表紙にもレストランの入口の写真とステンドグラスのエンブレムが入っている。1890年創業。
しかし、全然格式張っていないので、こんな格好でも全然平気。
メニュを選んだり、飲み物が運ばれてきたりしている内に、全然期待していなかった国際列車が到着。
おっちゃんはビール、私はまたもや冷えていないオレンジジュースで乾杯。オレンジジュースが冷えていないのは、注文してからオレンジを搾るからと、うっかり氷を頼むのを忘れるから。
メニュの前菜を見るとトルコ語と英語の表記がある。
Eggplantてなんや?
聞いたことがあるけど忘れた。トルコ語でパトルジャン(Patlican)か、それも聞いたことあるけど思い出せへんわ
などといいながら、下の方に目をやると
Eggplant Stuffed、またEggplantが出てきた。トルコ語はÍmam Bayildi ?  !、イマム・バユルドゥやないか、私がトルコに来たら食べたいと思っていた!Eggplantはナスビのことだった。
この料理を知ったのは『トルコで私も考えた(以下トル考)2』の「トルコが私を太らせた③トルコの夏料理」でだった。
トルコには「ゼイティンヤール」という名のオリーブ油を使った冷菜料理がたくさんある。
Zeytinyaĝli(ゼイティンヤール)=「オリーブ油を使った」の意味。
Ímam Bayildi イマム・バユルドゥ(なすの野菜詰めオーブン焼)
この名前は「坊さんも気絶するほどうまい」の意
というのを読んで、その名前が気に入っていたのだった。
しかし、イマム・バユルドゥは勝手な発音とアクセントで覚えていたので、私の発音では通じなかった。とりあえずわかってもらえたが。

まずはたくさんのパンと、黒い液体の入った四角い皿が出てきた。しばし凝視。
ひょっとしてオリーブ油?下に黒い粉が溜まっているがオリーブ油だった。その後トルコでパンにオリーブ油もバターも付いて出てくることはなかったので、トルコではかなりハイカラなサービスみたい。さすがオリエントエクスプレスの終着駅。
イマム・バユルドゥの方は大きなナスビがプラリネみたいな姿で現れた。パプリカなどが入っていて、それぞれオリーブ油に浸かっているのだが、あっさりと食べられた。
おっちゃんは無難にDört Mevsim Salatasi(Four Season Salad)季節のサラダ、もうちょっと冒険してほしい。
おっちゃんはホームを通る人たちが気になるらしく、乗客だけでなく、通り抜ける人の方が多いと言うのだった。
メインはどれにしよう。女の子(Kuzu)の羊とキョフテ(Köfte)はお昼に食べたし。
で、頼んだのは羊飼いのカヴルマ(Çoban Kavurma/Shepard’s Roasting)。何故かというとカヴルマに記憶があったからだ。
『トル考①』の「トルコひと口メモ⑩カヴルマの作り方」に、
野菜入りは肉の水分がなくなってしばらくしてから、玉ねぎ、青唐辛子、皮むきトマトのみじん切りをこの順に入れて、野菜がソースのようにどろっとするまでいためる
とある。
マッシュルームが入っていたが、トルコ人はキノコはあまり食べないらしいので、ヨーロッパ風かな。
それとBeĝendili Kebap/Kebap With Eggplant Purgeを頼んだら、つぶした焼きナスの上に牛肉の煮込みがのって出てきた。
焼きナス好きのおっちゃんは、こちらの方を好んで食べていた。
デザートになってメニュがまた来た。
ドンドルマは食べたし、クレーム・キャラメルをトルコで食べるのはいかがなものか。
どんなものかわからずに指さすと売り切れと言われて、結局は残っているものを頼むしかなかった。

季節のフルーツ(Mevsim Meyvalari)は杏やさくらんぼが盛られていた。
これは結構大きくて2人で分けてちょうどいいくらいだった。シロップに浸かっているが、トルコ名物のバクラヴァ(Baklava)よりもずっとあっさりした甘さ。小さな粒々が重なってケーキのようになっている質感だった。
こうやって食べている間に国際列車には少しずつ客が増えていった。
食後レストラン内のトイレに行っている内に国際列車は発車してしまった。夜更けに出るものと思っていたのに。


できればシルケジ駅から列車で戻りたかったが、ホテルからも空港からも列車の駅は遠かった。
さっきのキオスクで水を買い足して、6時半頃にシルケジ駅でトラムヴァイに乗る。
ゼイティンブルヌ(Zeytinburnu、ゼイティンはオリーブのことだった)駅でメトロに乗り換えて、ホテルにあるデュンヤ・ティジャーレット・メルケズィ(Dünya Tiçaret Merkezi)まで戻ったら7時半。帰宅時間にひっかかってしまったので、ほとんど立ちっぱなしだった。
あまり人気のない地区なので、日が暮れないうちに戻って来られて良かった。長~い一日の終わり。
※参考文献
「トルコで私も考えた1」(高橋由佳利 1996年 集英社)
「トルコで私も考えた2」(高橋由佳利 1999年 集英社)