残念なことにリュステムパシャ・ジャーミイの平面図がどこにも載っていない。
グーグルアースで上から見ると、西半分を軒が巡っている。
中央の大ドームを小ドームが取り巻いているように見える。ミナレットは1本。
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Mさんは南西の角へと向かうとすぐに階段を上りだしたので、外観を眺めるひまもなかった。
狭い階段を上り詰めたら、モスクの西側だった。尖頭アーチの列柱廊の奥にイズニクタイルが張られた壁面があっけなく見えてしまった。
『イスタンブールが面白い』は、モスクの依頼主リュステム・パシャ(パシャはオスマン帝国の文武高官の称号)は皇女ミフリマフの夫で、シュレイマンの引き立てにより大宰相にまで昇った人物。
リュステム・パシャが財力にあかせてつくらせたと悪口を言う人もいるが、宝石箱のように美しい。
モスクの完成は1561年。狭い敷地は当時から商業地区の中にあったから、これに合わせてスィナンらしいアイディアが盛られているという。
尖頭アーチの間のエンブレムはリュステムパシャの花押だうか、コーランの言葉の一字一字が書かれているのだろうか。確かめることはではなかったが、これも最盛期のイズニクタイルだった。
スレイマニエ・ジャーミイの控えめなタイルの使い方とは対照的なモスクだ。
軒裏はスルタンアフメット・ジャーミイと同じように、赤に緑の格子が入っている。
内側の列柱の柱頭にはムカルナス風の浮彫。
北側に回り込むとリュステムパシャ・ジャーミイの続きの建物か、別の建物か見分けられない小ドームの並ぶ建物があった。
列柱廊の外側の柱頭。これはムカルナスとは言えないだろう。
モスクの北側が入口になっていた。やっぱり靴を脱いで入る。
Mさんは名前の割にはモスクに興味がないらしく、外で待っていると言うのだった。
※参考文献
「講談社カルチャーブックス イスタンブールが面白い」(小田陽一・増島実 1996年 講談社)