お知らせ

イスタンブールでミマールスィナンの造ったモスクを見ていて、その前はどんな形のモスクだったかが気になって、オスマン帝国の古都を旅してきました。最後にはまたイスタンブールを訪ねます。 詳しい事柄は忘れへんうちにに記事をのせます。

2012年2月11日土曜日

3日目4 アクダマル島のアルメニア教会3 壁画1

教会の外側を一周して浮彫を見て回った後で、西正面から教会内に入っていった。Kavitと呼ばれる1763年に建立された建物の中を通っていった。そこは暗く、壁面に装飾のある漆喰板をはめ込んだ箇所があったりした。
秘密の逃げ道がありました
敵が襲って来た時にそこからトンネルを通ってどこかに出られたらしい。
平面図(右側が東)で見ると、基本的には正方形で、左右に長方形の凹みがある。そのため内部は幾分東西(進行方向)に長い印象を受ける。四方にはそれぞれ半円形の壁龕があり、十字形を構成している。
集中式の教会は、半円にしろ四角形にしろ、交差部に四方から集中する形となるのだが、このアクダマル島のアルメニア教会は、それだけに留まらず、正方形の各角にも半円形の凹みがある。また、各角を小さく切り込んで、複雑な平面、そしてそれに続く壁面も複雑だ。
黒い外壁の細い切れ込みは窓。
外壁は浮彫だったが、内部はフレスコ画でほぼ全面が荘厳されていたようだ。剥落が進んでいるのが残念だが、そのために、内部が明るく見渡せる。
写真中央が東側の後陣で、南北の袖廊が画面に入るほど小さい。南北は袖廊というほどの奥行はなく、『Aghtamar A JEWEL OF MEDIEVAL ARMENIAN ARCHITECTURE』ではアプス(後陣)といっているので、ここでは東のものを後陣、南北のものはアプスと区別する。
平面図からもわかるように、8本の柱が天井まで立ち上がっているので、内部に入った印象は、狭いが高いということだった。
真上のドームを見上げて写真を写すのに首が痛かったのを覚えている。
各角の半円の凹みでわかりにくいが、ドームへと続く穹隅、つまりペンデンティブがみられる。
後陣の半ドームには天使のような小さな像だけが残る。その下には玉座のキリストと天使。X字形を連続させたような文様帯で上下を区切っている。
柱には聖人か預言者が描かれている。人物横の文様帯はわかりにくい。柱の凹んだところはアカンサスの葉のようだ。
その下段右側。窓を挟んで6人ずつ表されているので、十二使徒だろう。
鮮やかな赤と青が残る唯一のフレスコ画。
東の後陣から南アプス。その間の壁龕は窓をあけて堂内を明るくするためのものだったのだろうか。
南アプスのみ階上廊がある。階上廊の半ドーム下には、頭光をつけた人物が4名描かれて、キリスト伝の場面の一つらしい。
南アプス1階部分の半ドーム。
2段にわたって頭光のある人物が並んでいる。黙示録の二十四長老だろう。
その上中央に、薄いが赤い色でキリストが表され、その周りに天使の羽根のようなものや傘のようなものが黒く描かれている。
後陣から北アプス。見ようによっては、1つのペンデンティブを2本の柱で支えているともいえる。
北アプスの半ドームには壁画は残っておらず、下の2段には比較的よく壁画が残っている。
上段、中央の窓の上は、マンドルラに包まれたキリストが四福音書家に囲まれた、荘厳のキリスト。その右はわからない。
下段右は有翼の天使たち、右端にキリストがすわっている。
2段目の窓の左側の壁画。左端はキリストの磔刑だが、右はわからない。
実際に堂内にいた時は、夢中で写していた(その割にピンボケが多い)が、このように見てみると、青い色が比較的よく残っている。

※参考文献
「Aghtamar A JEWEL OF MEDIEVAL ARMENIAN ARCHITECTURE」(Brinci Baski 2010年 Gomidas Institute)